こんにちは!スミスです。
スポーツを観戦するのが好き、週末は軽く運動をする――そんな方にとって、スポーツはもはや生活の一部ですよね。でも、これからのスポーツは「観る」「する」だけではなく、最先端のテクノロジーと融合して、もっと面白く、もっと身近になるかもしれません。
2025年12月1日、富士通株式会社が「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」という新しいプログラムを発表しました。これは、AI(人工知能)や量子コンピュータといった先端技術を使って、スポーツの世界に革新をもたらそうという壮大な取り組みです。企業スポーツの新しい価値を創り出し、地域活性化や健康促進にもつながるこのプログラムについて、詳しくご紹介します。
「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」とは何か?
富士通が2025年12月1日に発表した「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」(スポーツ×テクノロジーで新たな価値創造を目指す「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」を開始)は、スポーツ分野における新たなイノベーション創出を目指すグローバルパートナー共創プログラムです。
企業スポーツとスタートアップの共創
このプログラムの最大の特徴は、富士通が運営するスポーツチーム(アメリカンフットボール、女子バスケットボール、陸上競技など)や施設と、革新的な技術やアイデアを持つスタートアップ企業を「共創パートナー」としてマッチングする点にあります。
富士通は、アメリカンフットボール部「富士通フロンティアーズ」や女子バスケットボール部「富士通レッドウェーブ」、陸上競技部など、日本一や世界一を目指すトップチームを保有しています。これらのチームや選手、トレーニング施設を活用し、AIや量子コンピュータなどの先端テクノロジーを使った新しいスポーツビジネスの創出を目指します。
プログラムのスケジュール
具体的なスケジュールとしては、以下のように進められる予定です。
- 2025年12月1日: パートナー企業の募集開始
- 2026年2月: ピッチイベント開催、採択企業決定
- 2026年度~: PoC(実証実験)開始
つまり、来年早々には具体的な取り組みがスタートし、スポーツとテクノロジーの融合による新しいサービスやビジネスモデルが生まれてくることが期待されます。
プログラムの6つのテーマと多様な可能性
「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」では、幅広いテーマが対象となっています。単なる競技力向上だけでなく、スポーツを通じた社会課題の解決や新しい価値創造が視野に入っているのが特徴です。
1. アスリート・チームの強化
トレーニング支援、データ分析、メンタルケアなど、選手やチームのパフォーマンス向上を科学的にサポートする取り組みです。富士通が持つAI技術を活用すれば、これまで見えなかった動きの改善点やトレーニングの最適化が可能になります。
2. 健康促進・ウェルビーイング
スポーツを通じた一般市民の健康増進や運動習慣の支援も重要なテーマです。中高年のサラリーマンの方にとっては、自分の運動データを可視化して健康管理に役立てたり、より効果的な運動プログラムを受けられたりする可能性があります。
3. ファンエンゲージメントの強化
観戦体験の向上、デジタル参加、グッズ展開など、ファンとチームの結びつきを深める施策です。例えば、スマートフォンアプリで試合中のリアルタイムデータを見られたり、バーチャル空間で選手と交流できたりするかもしれません。
4. 地域活性化・観光・地域連携
ホームアリーナ周辺の商圏活性化や地域スポーツ振興など、スポーツを核とした地域経済の活性化を目指します。地方都市にとって、スポーツチームは重要な地域資源であり、テクノロジーを使った新しい取り組みが期待されます。
5. 社会包摂(インクルージョン)
パラスポーツ、学校や子ども向けスポーツ支援、アクセス向上など、より多くの人がスポーツに参加できる環境づくりです。障がいのある方や高齢者、子どもたちがスポーツを楽しめる機会を増やすことは、社会全体の課題でもあります。
6. スポーツ運営のビジネス基盤整備
収益モデルの構築、スポンサー可視化、会場のDX(デジタルトランスフォーメーション)、選手のセカンドキャリア支援など、スポーツビジネスそのものの強化も視野に入れています。企業スポーツを単なる「企業の広告塔」ではなく、持続可能なビジネスとして成立させるための基盤づくりが進められます。
富士通のスポーツ×テクノロジーの実績
富士通がスポーツ分野でテクノロジーを活用するのは、今回が初めてではありません。実は、これまでにも数々の実績を積み重ねてきています。
体操競技のAI採点システム
富士通は、国際体操連盟(FIG)と共同で、体操競技のAI採点支援システム「Judging Support System(JSS)」を開発しました。このシステムは、世界体操選手権などの国際大会で実際に使用されており、世界初で唯一の国際機関公認の競技用AI採点システムとして高い評価を受けています。
フィギュアスケートへの応用
2025年7月には、富士通の骨格認識AI技術がフィギュアスケートの日本代表トレーニングに採用されました(高精度な骨格認識AIを活用し、フィギュアスケート選手のトレーニング強化に貢献)。
従来のモーションキャプチャー技術では、選手の体にマーカーを装着する必要があり、実際の競技に近い環境での計測が困難でした。しかし、富士通の骨格認識AIは、マーカーなしでカメラ映像だけから選手の動きを高精度に3次元データ化できます。
特にフィギュアスケートでは、ジャンプやスピンなどの高速で複雑な動作を数秒で解析し、ジャンプの回転速度や高さといった分析結果を選手に素早くフィードバックすることが可能になりました。この技術は、日本スケート連盟の関空アイスアリーナで実際に導入され、日本代表選手のトレーニング強化に貢献しています。
Human Motion Analytics
富士通は、人の動きをデジタル化するデータ解析プラットフォーム「Human Motion Analytics(HMA)」を提供しています。これは体操競技で培った高精度な骨格認識技術をベースに、スポーツだけでなく、ヘルスケア、小売、製造など幅広い分野での活用を目指すものです。
このように、富士通は長年にわたってスポーツとテクノロジーの融合に取り組んできた実績があり、今回の「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」は、その知見を企業スポーツ全体に展開し、さらに新しいパートナーとの共創によって加速させようという試みなのです。
このプログラムが注目される理由
では、なぜこのプログラムが注目されるのでしょうか。私自身、いくつかの理由から、このプログラムは非常に意義深く、かつ時代の潮流に合った先進的な取り組みだと感じています。
「観るスポーツ」から「参加するスポーツ」へ
これまでスポーツといえば、観戦や応援が中心でした。しかし、このプログラムでは「デジタル技術×運動×健康」という枠組みを通じて、一般の人々も参加・体験・健康増進などを含めた新しい価値を享受できるように設計されています。
例えば、自分のランニングフォームをAIが分析してアドバイスしてくれたり、自宅でトップアスリートと同じトレーニングメニューを体験できたりするかもしれません。スポーツの裾野が広がり、「企業スポーツ」「地域スポーツ」「健康づくり」といった多様な形での関わりが促進されることが期待されます。
データドリブンなスポーツ強化・管理
富士通のようなテクノロジー企業だからこそできる、科学的なアプローチがあります。すでに骨格認識AIのような技術をスポーツに応用してきた実績があり、アスリートの動きを科学的に分析・改善するノウハウを蓄積しています。
これを各種スポーツ、身体活動、健康管理に展開すれば、一般人のフォーム改善、怪我防止、パフォーマンスデータの可視化など、これまでにないスポーツ・健康体験が可能になるでしょう。
地域・社会へのインパクト
プログラムには地域活性化や社会包摂も含まれており、子ども・高齢者・障がい者なども含めたスポーツアクセスの拡大、地方経済の振興、地域コミュニティの活性化など、社会課題の解決にもつながる可能性があります。
テクノロジーを通じて「健康+地域+社会貢献」を両立させるという点で、企業のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みにも合致します。実際、富士通は「人々のウェルビーイングの向上」をマテリアリティ(重要課題)の一つに掲げており、このプログラムはその実践でもあります。
新しいスポーツビジネスモデルの可能性
企業スポーツを単なる「福利厚生」や「広告・ブランディング」ではなく、データ・DX・ファンエンゲージメント・商品開発・地域連携などを通じて、ビジネスとして成立するスポーツエコシステムに育てていく――この挑戦は、今後のスポーツ産業全体の拡大にとって重要になると思います。
スポーツチームが地域や社会にとって価値ある存在であり続けるためには、持続可能なビジネスモデルが不可欠です。このプログラムを通じて、新しい収益源や価値提供の方法が見つかれば、日本の企業スポーツ全体が活性化する可能性があります。
課題と今後への期待
もちろん、課題もあります。テクノロジーの活用には初期投資が必要ですし、すべてのスポーツチームや地域がすぐに恩恵を受けられるわけではありません。また、データの取り扱いやプライバシーの問題、テクノロジーに不慣れな人への配慮なども必要でしょう。
しかし、このプログラムは「スポーツ=競技」「勝敗」「観戦」だけだったこれまでの枠を壊し、誰もが参加できる、健康や生活の一部になる、地域や社会とつながる、技術で支えるスポーツへの転換を狙った、大胆で未来志向の取り組みだと言えます。
近い将来、「スポーツを通じた健康維持」「地域コミュニティの活性化」「障がい者や高齢者の参加」「テクノロジーによる運動の可視化・最適化」――そうした新しいライフスタイルの選択肢がもっと増えるようになったら素晴らしいですね。
富士通の「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」は、まさにそんな未来を切り拓く第一歩になるかもしれません。スポーツ好きのサラリーマンや中高年の方々にとっても、自分の健康やライフスタイルに直結する可能性を秘めたこのプログラム。今後の展開に注目していきたいと思います。
参考記事リンク
- スポーツ×テクノロジーで新たな価値創造を目指す「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」を開始 – 富士通株式会社
- 高精度な骨格認識AIを活用し、フィギュアスケート選手のトレーニング強化に貢献 – 富士通株式会社
- スポーツ×テクノロジーで新たな価値創造を目指す「Fujitsu Accelerator Program for SPORTS」を開始 – PR TIMES
- Fujitsu Sports – 富士通スポーツの活動
- FUJITSU ACCELERATOR – 富士通
※本記事の情報は2025年12月1日時点のものです。最新情報については公式サイト等でご確認ください。
