こんにちは!スミスです。
LNGという言葉を、ニュースで耳にしたことはありませんか?「LNG価格が高騰」「LNG輸入が増加」といった報道を目にしても、「そもそもLNGって何?」と思っている方は少なくないでしょう。LNGとは「Liquefied Natural Gas(液化天然ガス)」の略称で、天然ガスを-162℃まで冷却し液化させたものです。日本は世界屈指のLNG輸入国であり、「輸入量の約70%が火力発電所の燃料となり、約30%は都市ガスに使用」(LNG(液化天然ガス)とは?LPGとの違いやメリット、最新動向まで解説 | GX DiG)されています。つまり、私たちの電気代やガス代に直結する、生活に欠かせないエネルギー資源なのです。本記事では、LNGの基本的な仕組みから、なぜ今注目されているのか、エネルギー価格・国際情勢・日本経済との関係まで、わかりやすく解説していきます。
LNGとは何か|液化天然ガスの基本と日本での重要性
LNGの定義と液化のメリット
LNGとは、メタンを主成分とする天然ガスをマイナス162度まで冷却して液体化したものです。なぜわざわざ液体にするのでしょうか?それは、「液化することで体積が約600分の1に縮小され、大量の輸送と貯蔵が容易かつ効率的に行える」(LNGとは?メリット・デメリット、現状についてわかりやすく解説 – Green&Circular 脱炭素ソリューション|三井物産)からです。
私個人の理解としては、LNGの技術的な本質は「輸送の革命」にあると感じています。天然ガスは気体なので、そのままでは遠方への大量輸送が困難です。パイプラインという方法もありますが、海を越えることはできません。液化技術により、気体を600分の1に圧縮して船で運べるようになったことで、日本のような島国でも大量の天然ガスを利用できるようになったのです。
実際、「日本は天然ガスの産出地とパイプラインでつながっていないため、LNGで輸入」(LNGを安定的に供給するための取り組み|エネこれ|資源エネルギー庁)しており、「日本で供給されているLNGは、ほぼ全量が海外から輸入」(天然ガス・LNG供給 – JAPEX)されています。つまり、液化技術がなければ、日本は今のような豊富な天然ガス利用は不可能だったのです。
日本のLNG輸入の歴史と現状
日本のLNG輸入は、「1969年から開始」(液化天然ガス(LNG)とは?どれくらい輸入されて、何に使われているの? – Selectra)されました。当初はエネルギー供給のわずか1%でしたが、その後急速に拡大し、現在では日本のエネルギー供給において石油に次ぐ重要な位置を占めています。
特に転機となったのが、2011年の東日本大震災です。「東日本大震災で原子力発電によるエネルギー供給の割合が11.3%(2010年)から0.4%(2013年)にまで縮小されたことから、LNGの重要性はさらに高まって」(Selectra)います。原発停止の代替電源として、LNG火力発電が急増したのです。
私が重要だと考えるのは、この震災後の経験が、日本のエネルギー安全保障におけるLNGの戦略的重要性を浮き彫りにしたという点です。再生可能エネルギーはまだ発展途上で天候に左右される。原子力は社会的受容性の課題がある。その中で、比較的クリーンで安定供給可能なLNGが、日本のベースロード電源を支える現実的な選択肢となっているのです。
LNGの用途と環境面でのメリット
LNGの用途は明確です。「輸入量の約70%が火力発電所の燃料となり、約30%は都市ガスに使用」(GX DiG)されています。つまり、私たちが家庭で使う電気とガスの大部分が、LNGに依存しているのです。
環境面でのメリットも見逃せません。「天然ガスは石油や石炭といった化石燃料とくらべて燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、液化プロセス中に不純物が除去されるため硫黄酸化物やばい煙も発生しません」(Selectra)。
私個人の評価としては、LNGは「完璧なクリーンエネルギー」ではないが、「現実的な移行エネルギー」だと考えています。CO2排出がゼロではない以上、最終的な脱炭素の答えではありません。しかし、石炭や石油と比べて環境負荷が低く、技術的に成熟しており、安定供給が可能。この「現実解」としての価値が、今まさに世界中で再評価されているのです。
なぜ今LNGが再び脚光を浴びているのか|地政学リスクと価格変動
ロシア・ウクライナ情勢がもたらした衝撃
近年、LNGが再び脚光を浴びている最大の理由は、地政学リスクの顕在化です。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機に、欧州ではロシア産天然ガスへの依存から脱却する動きが急速に進みました。
欧州は長年、ロシアからパイプラインで供給される天然ガスに大きく依存していました。しかし、ウクライナ侵攻により、この依存関係が安全保障上のリスクであることが明らかになったのです。欧州各国は急遽、ロシア産ガスの代替として、世界中からLNGを調達しようとしました。
その結果、何が起きたのか。世界的なLNGの争奪戦です。欧州が大量のLNGを買い求めたことで、世界のLNG市場は需給が逼迫し、価格が急騰しました。この価格高騰は、日本を含むアジアのLNG輸入国にも大きな影響を与え、電力料金の値上がりという形で私たちの生活にも直結したのです。
LNGと「安全保障」の関係
私が特に重要だと感じるのは、LNGが単なるエネルギー商品ではなく、「安全保障」と「経済」の両面で極めて戦略的な資源になっているという点です。
エネルギーは、国家の生命線です。電気が止まれば、経済活動は麻痺し、社会機能は崩壊します。だからこそ、エネルギーの安定供給は国家安全保障の最重要課題なのです。ロシア・ウクライナ情勢は、エネルギーが外交・軍事の武器になり得るという現実を、世界に突きつけました。
日本の場合、「日本に輸入されているLNGは、オーストラリアやマレーシア、ロシア、ブルネイ、インドネシアといったアジア大洋州その他の地域からの輸入が約7割(71.4%)を占め、カタールやオマーン、イエメンといった中東からの輸入が残る3割弱(28.6)%と、石油に比べて中東への依存度が低い」(Selectra)という特徴があります。
この供給源の多様性は、日本のエネルギー安全保障にとって大きな強みです。石油のように中東に極端に依存していないため、中東情勢の変化に左右されにくい。オーストラリアや東南アジアという地理的に近い地域から調達できることも、輸送リスクの低減につながります。
LNG価格の変動と日本経済への影響
LNG価格の変動は、日本経済に直接的な影響を与えます。「日本向けのLNG輸入価格は、原油価格に連動していますが、原油価格変動の影響を緩和するための調整システムを織り込んだ価格フォーミュラを導入しているため、原油に比べるとその変動が緩やかなものになっています」(Selectra)とはいえ、国際情勢によって価格が大きく動くことに変わりはありません。
私個人の分析としては、LNG価格は今後も変動性が高い状態が続くと考えています。理由は3つあります。第一に、地政学リスクの常態化。ウクライナ情勢だけでなく、米中対立、中東情勢など、エネルギー供給を脅かすリスクは多数存在します。第二に、世界的な脱炭素の流れ。各国が石炭・石油からLNGにシフトすることで、需要が増加し続けています。第三に、供給の硬直性。LNGプラントの建設には数年かかるため、急な需要増に対応できません。
この価格変動リスクを考えると、日本企業や個人投資家は、エネルギー価格の動向に敏感になる必要があります。電力会社やガス会社の経営は LNG価格に大きく左右されますし、商社もLNG取引で大きな利益を上げています。エネルギー株への投資を考える際には、LNG市場の動向が重要な判断材料となるのです。
LNGの未来|脱炭素時代における現実解としての役割
再生可能エネルギーの「不安定さ」を補う存在
脱炭素社会を目指す上で、理想は再生可能エネルギー(太陽光・風力など)100%の世界です。しかし現実には、再エネには大きな弱点があります。発電量が天候に左右され、不安定だという点です。
太陽光発電は夜間や曇りの日には発電できません。風力発電は風が吹かなければ発電できません。この不安定さを補うために、バックアップ電源が必要になります。そのバックアップとして、最も現実的な選択肢がLNG火力発電なのです。
私の考えとしては、LNGは「再生可能エネルギーへの橋渡し役」として、今後10〜20年は極めて重要な役割を果たすと見ています。再エネが成熟し、蓄電技術が飛躍的に向上するまでの間、安定した電力供給を支えるのはLNGです。これは終わりゆくエネルギーではなく、次のエネルギー時代を支える現実解なのです。
水素・アンモニアとの混焼技術
LNGの未来を語る上で見逃せないのが、水素やアンモニアとの混焼技術です。これは、LNG火力発電所で、LNGに水素やアンモニアを混ぜて燃焼させることで、CO2排出量を削減する技術です。
水素もアンモニアも、燃焼時にCO2を排出しません。LNGに一定割合を混ぜることで、既存のLNG火力発電所を活用しながら、段階的に脱炭素化を進められるのです。日本の電力会社は、すでにこの混焼技術の実証実験を進めており、将来的には100%水素・アンモニア発電を目指しています。
この技術の素晴らしい点は、既存インフラを活用できることです。LNG火力発電所を一から建て直す必要はなく、燃料を変えていくだけで脱炭素化を進められます。これは、莫大な投資を避けながら、現実的に脱炭素を実現する道筋と言えるでしょう。
CCS技術との組み合わせ
もう一つの重要な技術が、CCS(Carbon Capture and Storage:CO2回収・貯留)です。これは、発電所などから排出されるCO2を回収し、地中深くに貯留する技術です。
LNG火力発電とCCSを組み合わせることで、発電時に排出されるCO2を大気中に放出せず、地中に封じ込めることができます。これにより、LNGを使いながらも、実質的にCO2排出をゼロに近づけることが可能になるのです。
私個人の見解としては、LNG+水素混焼+CCSという組み合わせが、2030年代〜2040年代の日本の電力供給の主力になると考えています。完全な再エネ化には時間がかかりますが、この組み合わせにより、化石燃料を使いながらも脱炭素を実現するという、一見矛盾した目標が達成できるのです。
まとめ|次のエネルギー時代を支える戦略的資源
LNGとは、天然ガスをマイナス162度まで冷却して液体化したもので、体積を600分の1に圧縮することで、大量輸送を可能にした技術の結晶です。日本は世界屈指のLNG輸入国であり、電力の約70%、都市ガスの約30%をLNGに依存しています。
近年、ロシア・ウクライナ情勢を契機に、LNGは単なるエネルギー商品から、安全保障と経済の両面で戦略的な資源へと位置づけが変わりました。世界的なLNG争奪戦が起き、価格が変動し、日本の電気代にも影響を与えています。
私の最終的な結論として、LNGは「終わりゆくエネルギー」ではなく、「次のエネルギー時代を支える現実解」だと考えます。再生可能エネルギーが理想であることは間違いありません。しかし、その不安定さを補い、安定した電力供給を支えるには、当面LNGが不可欠です。
そして、LNGは進化し続けています。水素・アンモニアとの混焼、CCS技術との組み合わせにより、化石燃料でありながら脱炭素を実現する道筋が見えてきました。これは、理想と現実の間に橋を架ける、極めて実用的なアプローチです。
今後10〜20年、LNGは日本のエネルギー安全保障と経済を支え続けるでしょう。ビジネスパーソンであれば、LNG価格の動向が企業業績に与える影響を理解しておく必要があります。投資家であれば、エネルギー株や商社株を評価する際に、LNG市場の動向が重要な判断材料となります。そして一般の読者の方々も、電気代やガス代の変動理由を理解するために、LNGという存在を知っておくことが大切です。
エネルギーは、私たちの生活と経済の基盤です。LNGという資源を正しく理解することは、これからの時代を生きる上で必須の教養と言えるでしょう。
参考記事リンク
- 資源エネルギー庁 – LNGを安定的に供給するための取り組み
- JAPEX – 天然ガス・LNG供給
- Selectra – 液化天然ガス(LNG)とは?どれくらい輸入されて、何に使われているの?
- GX DiG – LNG(液化天然ガス)とは?LPGとの違いやメリット、最新動向まで解説
- 三井物産 – LNGとは?メリット・デメリット、現状についてわかりやすく解説
※本記事の情報は2026年1月4日時点のものです。最新情報については公式サイト等でご確認ください。

