こんにちは!スミスです。12月になると、多くの家でクローゼットが動きます。大掃除のついでに衣替えを済ませ、着なくなった服をまとめて処分する。私も毎年そうしてきた一人です。ところが環境省の資料を読んでいて、手が止まる数字に出会いました。リユースもリサイクルもされずに焼却・埋め立てされる衣類は、日本で年間およそ46万トン。大型トラックにして毎日130台分だというのです。基準日(9月11日)から数えて80日ほど先、年末の片づけが本格化する前に、この数字の意味と、可燃ごみ以外の道について整理しておきたいと思います。
12月、クローゼットが動く季節
大掃除と衣替えが重なる時期
衣類を手放すきっかけは、年に何度か巡ってきます。春と秋の衣替え、引っ越し、そして年末の大掃除。このうち12月が特殊なのは、大掃除と冬物の入れ替えが同時に起きる点にあります。
押し入れの奥から出てきた着ていないコート、サイズが合わなくなったニット、数年前に買ったまま袖を通していないシャツ。年内に片づけてしまおうという気持ちが働く時期でもあり、判断が一気に進みます。勢いがつくのは悪いことではありません。ただその勢いのまま全部を可燃ごみの袋に入れてしまうと、あとから選択肢がなくなってしまう。今回お伝えしたいのは、そこの話です。
環境省が示す年間46万トンという数字
まず全体像を押さえましょう。環境省はサステナブルファッションに関する特設サイトを設けており、そこに衣類の処分量が示されています。
服がごみとして出されるなどして、リユース・リサイクルされずに処分される量は年間で約46万トン。この数値を換算すると「大型トラック約130台分を毎日焼却・埋め立て」していることになる、と説明されています(環境省・サステナブルファッションとは)。
よく見かける48万トンとの違い
ここで、正直にお伝えしておきたいことがひとつ。この話題を扱った記事を読み比べると、数字が46万トンと48万トンに分かれていることに気づきます。私も最初は、どちらかが誤りだろうと考えました。
調べてみると、事情はもう少し複雑でした。衣類の流れを推計した資料はいくつかあり、調査年度によって数値が動きます。消費者庁の会議資料に掲載された2022年版の推計では、家庭から手放された衣類のうち廃棄される量として48.5万トンという数字が示され、別の集計では47.0万トンという値も出てきます(消費者庁・ファッションを持続可能に(環境省タスクフォース資料))。
つまりどちらも出典のある数字で、何年の、どの範囲を数えたかが違うということです。この記事では、環境省が現在サイトで示している46万トンを基準にしています。数字を引用するときは、必ず出典と年度をセットで確認する。地味ですが、こういう作業が記事の信頼性を支えるのだと思います。
数字を分解してみる
1日あたり1,260トンという計算
46万トンという規模は、そのままでは実感が湧きません。少し分解してみます。
年間46万トンを365日で割ると、1日あたりおよそ1,260トン。これが毎日、日本のどこかで焼却炉や埋立地に運ばれている計算になります。
年間 約460,000トン
1日あたり 約1,260トン
1時間あたり 約52トン
大型トラック 毎日約130台分
→ 1台あたり約9.7トンという換算
2030年の政府目標
2020年度比で25パーセント削減
→ 単純計算で年間約34.5万トンまで減らす水準
※年間量は環境省サイトの記載に基づき、1日・1時間あたりの数値は筆者が算出しました
トラック1台に9.7トンという重さ
1,260トンを130台で割ると、トラック1台あたり約9.7トン。ここで一度、手元の服の重さを思い浮かべてみてください。
Tシャツ1枚がおよそ200グラム、厚手のセーターで500グラム前後、冬用のコートなら1キロを超えるものもあります。仮に1着あたり平均400グラムと見れば、9.7トンのトラック1台には2万4,000着ほどが積まれている勘定です。それが毎日130台。数字が大きすぎて、かえって現実感が薄れるかもしれません。
ただ、この膨大な量の出発点は、一つひとつの家庭のクローゼットです。年末に10着処分する人が全国に何百万人といて、その合計がこの数字になっている。そう考えると、自分の袋の中身も無関係ではないと感じます。
政府が掲げた2030年の目標
この状況を前に、政府も手をこまねいているわけではありません。環境省のサイトには、家庭から廃棄される衣類の量について2030年までに2020年度比で25パーセント削減する目標が掲げられていると記されています。
25パーセントという数字をどう見るか。仮に46万トンを基準に単純計算すれば、34.5万トン程度まで減らす必要がある。11万トン以上を削るわけですから、一部の熱心な人の努力だけでは到底届きません。年末に服を捨てている大多数の人が、少しずつ行動を変えて初めて視野に入る水準だと見ています。
あわせて、家庭から廃棄される衣類を減らすための具体的な取り組みが「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」として2026年3月に取りまとめられたことも案内されています(環境省・サステナブルファッション関連資料)。
可燃ごみ以外の選択肢
店頭回収という道があります
では具体的にどうするか。最も手軽なのが、衣料品店による店頭回収の活用でしょう。
近年は多くのアパレル企業が、自社製品あるいは他社製品を含めた衣類の回収ボックスを店舗に置くようになりました。買い物のついでに持ち込めるため、わざわざ処分のために出かける必要がありません。年末は服を買いに行く機会も増える時期ですから、買い物に行くときに、手放す服を袋に入れて持っていく。この習慣がつけば、負担はほぼ消えます。
ただし回収の対象や条件は企業ごとに異なります。自社ブランドのみを受け付ける店もあれば、汚れや破損のあるものは不可とする場合もある。持ち込む前に各社の案内を確かめておけば、店頭で断られる事態を避けられるはずです。
自治体の古布回収は仕組みが異なります
もうひとつの道が、自治体による古布・古着の回収になります。ここで注意したいのが、仕組みが自治体によってまったく違うという点になります。
- 定期収集タイプ:月に1〜2回、決まった曜日に資源として回収
- 拠点回収タイプ:区役所や公共施設に常設のボックスを設置
- イベント回収タイプ:年に数回、特定の日時・場所でのみ実施
自分の住む自治体がどのタイプか把握していない方は、案外多いのではないでしょうか。特にイベント回収タイプの場合、年内の実施日が終わってしまえば次は春ということもあり得ます。年末に大量の衣類を出すつもりなら、11月のうちに調べておく価値は十分あるでしょう。
①まだ自分が着られる
→ 収納して来季へ。処分候補から外す
②誰かが着られる状態
→ リユース。フリマアプリ、リサイクルショップ、寄付
③繊維としてしか使えない
→ 店頭回収または自治体の古布回収へ
④汚損・破損が激しい
→ 最後の手段として可燃ごみ
●袋に入れる前にこの4段階を通すだけで、行き先はかなり変わります
●回収の可否は企業・自治体ごとに条件が異なります。事前確認を
【要注意】年末年始はごみ収集が止まります
そして見落としやすいのが、この一点です。年末年始はごみ収集が数日間停止します。
多くの自治体では12月30日前後から1月3日前後にかけて収集が休止し、年明けの再開後は最初の収集日に排出が集中します。大掃除で大量のごみを出した結果、収集されないごみ袋を家に置いたまま年を越すという事態は、毎年どこかで起きているはずです。
衣類は生ごみと違って腐りませんが、かさばります。段ボール数箱分の服を玄関に積んだまま正月を迎える。あまり気分のいいものではありません。だからこそ、12月の早い段階で処分を始めるほうが理にかなっています。12月半ばまでに店頭回収へ持ち込み、残ったものを通常の収集日に出す。この順序なら、年末の混雑を避けられます。
まとめ:捨てる前と、買う前に
年末の段取りを組む
ここまでの内容を、時系列に整理します。
- 11月中:自治体の古布回収の仕組みと、年内の実施日を確認する
- 同時に:よく行く店の回収サービスの対象と条件を調べておく
- 12月上旬:クローゼットを開けて仕分けする。手放すものを3つに分ける
- 12月中旬:買い物のついでに店頭回収へ持ち込む
- 12月下旬:残りを自治体の収集に出す。年末の収集日程を必ず確認
仕分けの基準についても触れておきます。私が使っているのは、まだ着られるか/誰かが着られるか/もう繊維としてしか使えないかという3段階です。1つ目はリユース、2つ目は回収やリサイクル、3つ目が最後の手段としての廃棄。この順に検討すれば、いきなり袋に放り込む事態は避けられます。
適量購入という考え方
最後に、捨てる話ではなく買う話を。
環境省のサイトでは、大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行の流れから、適量生産・適量購入・循環利用という循環型への転換が始まっていると説明されていました。この3つのうち、私たちが直接握っているのは「適量購入」の部分です。
年末はセールの季節でもあり、冬物が値下がりします。安いから、という理由で買った服がどうなるか。多くの場合、翌年の年末に同じクローゼットから出てきて、同じ袋へ入っていきます。私自身、何度も繰り返してきた失敗です。
仕分けをした直後は、自分が何を持ちすぎているかが一番よく見えているタイミングでもあります。捨てた枚数を数えてから、買い物に出かける。それだけで、来年の袋の大きさは変わってくるはずです。80日後の年末、クローゼットを開ける前にこの話を思い出していただければ幸いです。
※本記事の情報は2026年9月11日時点のものです。衣類の処分量に関する数値は環境省が公表している推計であり、調査年度や集計範囲によって異なる値が示される場合があります。1日あたり・1時間あたりの換算は筆者によるものです。店頭回収の対象や条件は企業ごとに、古布回収の方法やごみ収集の年末年始日程は自治体ごとに異なりますので、実際の処分にあたっては各社および居住地の自治体の案内をご確認ください。
