理学療法士・作業療法士国家試験2027、願書受付は12月。公表データから計算した既卒の合格率は約35パーセントでした

こんにちは!スミスです。国家試験の合格率を見るとき、多くの人は全体の数字だけを眺めて安心したり不安になったりします。理学療法士国家試験の合格率は約90パーセント。この数字だけなら、それほど厳しい試験には見えないかもしれません。ところが厚生労働省が公表している数字を分解してみると、まったく違う風景が現れました。新卒と既卒で、合格率に3倍近い開きがあるのです。第62回の試験は2027年2月に予定されており、願書の受付は例年どおりなら12月中旬から。基準日(9月12日)から90日ほど先の話です。この記事では、公表データを計算しながら、この試験の実像を整理してお届けします。


第62回は2027年2月に実施予定

理学療法士と作業療法士は同じ枠組みで動きます

まず制度の形を押さえておきましょう。理学療法士と作業療法士は、いずれも理学療法士及び作業療法士法という同じ法律に基づく国家資格です。そのため試験の日程や手続きも、ほぼ並行して動きます。

試験の施行は厚生労働大臣名で公示される仕組みで、前回の例では「第61回作業療法士国家試験を次のとおり施行する」という形で、令和7年9月1日付の公示が出されていました(厚生労働省・作業療法士国家試験の施行)。9月1日という日付に注目してください。試験の約半年前に、翌年の実施内容が正式に固まるというサイクルです。

試験地は全国8か所

受験地についても確認しておきます。前回の筆記試験は、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・香川県・福岡県・沖縄県の8都道府県で実施されました。

47都道府県のうち8か所。多くの受験者にとって県外への移動は避けられません。四国は香川、九州は福岡、東北は宮城。たとえば鹿児島や青森から受験するなら、前泊を含めた旅程を組む必要が出てきます。2月下旬という時期を考えれば、雪による交通の乱れまで織り込んでおきたいところです。なお会場の詳細は受験票の送付時に案内され、問い合わせには応じないと明記されています。

願書の受付は例年12月中旬から

手続きの日程に移ります。第60回の例では、受験願書の配布が試験前年の10月下旬以降、提出期間は12月16日から翌年1月6日まででした。

この流れが第62回でも踏襲されるなら、2026年12月中旬から2027年1月上旬にかけてが提出期間という見込みです。基準日から数えて90日ほど先。今の時点で慌てる必要はありませんが、後述するとおり準備すべきことは残っています。なお第62回の正式な日程・受付期間については、厚生労働省の公示および公式サイトで必ずご確認ください。

公表データを計算してみる

前回の合格率は理学89.7、作業91.2パーセント

ここからが本題です。厚生労働省は合格発表のたびに、出願者数・受験者数・合格者数を公表してきました。前回、令和8年2月に実施された第61回の数字を見てみましょう(厚生労働省・第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について)。

■ 第61回(令和8年2月実施)の結果

【理学療法士】
 出願12,951人/受験12,436人/合格11,156人
 合格率 89.7パーセント(うち新卒94.9パーセント)

【作業療法士】
 出願5,632人/受験5,426人/合格4,947人
 合格率 91.2パーセント(うち新卒96.6パーセント)

※厚生労働省の合格発表ページに掲載された数値です

全体で約90パーセント。この数字だけを見れば、しっかり勉強していれば通る試験という印象を受けるはずです。実際、養成校のカリキュラムを修了した人にとっては、それほど外れた認識ではありません。

新卒だけを取り出すと95パーセント前後

ただし公表データには、新卒者だけを抜き出した数字も併記されていました。理学療法士は受験11,366人のうち合格10,782人で94.9パーセント、作業療法士は受験4,801人のうち合格4,636人で96.6パーセント。

全体より5ポイントほど高い。ということは、全体の数字は新卒以外の受験者によって押し下げられている、ということです。では、その押し下げている層はどれくらいの成績なのか。公表されている全体と新卒の数字があれば、引き算で求められます。

引き算すると、既卒の姿が見えてきます

計算してみましょう。理学療法士の受験者12,436人から新卒11,366人を引くと、新卒以外は1,070人という計算です。合格者も同様に11,156人から10,782人を引いて374人。

■ 新卒以外の合格率(筆者による試算)

【理学療法士】
 受験 12,436 − 11,366 = 1,070人
 合格 11,156 − 10,782 = 374人
 合格率 約35パーセント(新卒94.9パーセント)

【作業療法士】
 受験 5,426 − 4,801 = 625人
 合格 4,947 − 4,636 = 311人
 合格率 約50パーセント(新卒96.6パーセント)

※厚生労働省が公表した全体と新卒の数値から筆者が算出したものです。公式に発表された数値ではありません

理学療法士で約35パーセント、作業療法士で約50パーセント。新卒の合格率と並べると、理学療法士では3倍近い開きがあることになります。

この差をどう読むか。養成校を出た直後は知識が最も新しく、学習環境も整っている。一方、卒業後に働きながら再挑戦する場合、勉強時間の確保そのものが難しくなります。数字はその現実を正直に映し出したのだと思います。

誤解のないよう申し添えますが、既卒だから無理だという話ではまったくありません。実際に374人と311人が合格を勝ち取りました。ただ条件が大きく違うことを前提に戦略を立てる必要がある。それが、この引き算から見えてくることです。


出願したのに受験しなかった人が515人

出願者数と受験者数のずれ

公表データには、もうひとつ気になる数字があります。出願者数と受験者数の差です。

理学療法士は出願12,951人に対し受験12,436人。その差は515人。作業療法士も出願5,632人に対し受験5,426人で、206人の開きがあります。両者を合わせると700人以上が、願書を出しながら試験当日を迎えていない計算になります。

しかもこれは前回に限った話ではありません。第60回では理学療法士が出願13,305人に対し受験12,691人、作業療法士が5,920人に対し5,693人(厚生労働省・第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について)。毎年、同じ規模のずれが生じています。

理由はさまざまでしょう。体調を崩した、卒業見込みが立たなくなった、事情が変わった。ただ願書を出すという行為自体は、すでに済ませていたという点は見逃せません。手続きの段階では前に進んでいたのに、そこから先で止まっている人が毎年これだけいる。合格率という一つの数字だけを眺めていると、こうした事実は視界に入ってきません。

願書は戸籍どおりの氏名で書きます

手続き面の注意点にも触れておきます。厚生労働省の施行公示には、受験願書は規則の様式第5号により作成し、願書に記載する氏名は戸籍に基づくものとする旨が明記されます。中長期在留者は在留カードまたは住民票、特別永住者は特別永住者証明書または住民票に基づくことになります。

日常的に略字や通称を使っている方は、ここで一度立ち止まる必要があります。旧字体の扱い、結婚による改姓の反映。こうした点で書類に不備があれば、受付が滞る可能性は十分にあります。戸籍の内容を確認する作業は、願書を書き始める前に済ませておきたいところです。

年末年始を挟むという日程の厳しさ

そしてもうひとつ、日程そのものに難しさがあります。願書の提出期間が12月中旬から1月上旬という設定である以上、年末年始をまたぐことになるからです。

この期間、役所の窓口は閉まります。郵便の配達も通常どおりとは限りません。卒業証明書や卒業見込証明書を学校から取り寄せる必要がある場合、学校自体が冬季休業に入っています。つまり実際に手続きを進められる日数は、期間の見た目よりずっと短いわけです。

逆算すれば答えははっきりしています。12月の受付開始と同時に出せるよう、必要書類は11月中に揃えておく。年内の早い時期に投函してしまえば、年末年始を気にせずに済みます。

まとめ:90日後の願書提出に向けて

逆算して動く

ここまでの内容を、時系列に並べ直します。

  • 9月中:厚生労働省の公示で第62回の日程を確認する
  • 10月下旬ごろ:受験願書の配布が始まる見込み。養成校、郵送、窓口で入手できます
  • 11月中:戸籍を確認し、証明書類を揃える。学校が休みに入る前に動くのが鍵です
  • 12月中旬:受付開始。可能なかぎり早い段階で提出する
  • 1月下旬ごろ:受験票が交付される見込み
  • 2027年2月:試験本番。試験地は8か所のため、遠方なら宿と交通の手配を

学習面についても一言。試験は午前100問、午後100問の計200問で、一般問題と実地問題に分かれます。合格には総得点と実地問題の両方で基準を満たす必要があり、総合点が足りていても実地で届かなければ不合格という構造です。得意分野で稼いで苦手をカバーする、という発想が通用しにくい設計です。

数字は脅しではなく、設計図です

最後に、この記事で計算した数字の扱い方について。

既卒の合格率が約35パーセントという事実を、脅しとして受け取ってほしくはありません。私がこの数字に意味があると考えるのは、準備の設計を変える材料になるからです。

新卒で受験する方にとっては、いま自分が最も有利な条件にいると知ることができます。学校の補講も、同級生との勉強会も、今年しか使えない資源にほかなりません。一方、既卒で挑む方にとっては、独学の量だけでは新卒と同じ土俵に立てないという前提を持てます。だとすれば、模試や講座で外部の基準を取り入れる、学習時間を先に確保してから生活を組む、といった対策が現実的な選択肢として浮かんできます。

90日後、願書の受付が始まります。まずは厚生労働省のページで第62回の公示を確認するところから、始めてみてはいかがでしょうか。

※本記事の情報は2026年9月12日時点のものです。第62回の試験日程・受験願書の受付期間・試験地・受験料などは、厚生労働省の公示によって正式に定まります。本文中の日程は前回までの実績に基づく見込みを含みます。また新卒以外の合格率は、公表された全体と新卒の数値から筆者が算出した試算であり、厚生労働省が公表した数値ではありません。最新かつ正確な情報は、厚生労働省の公式サイトで必ずご確認ください。

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参考記事リンク

  1. 厚生労働省・作業療法士国家試験の施行
  2. 厚生労働省・第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について
  3. 厚生労働省・第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について

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